今回は「社会保険」についてです。
強制加入のやつニャ
そうです、あの給料から天引きでごっそり取られてるやつです。
年末にもらえる源泉徴収票を見れば、どれだけ社会保険料を支払っているか分かります。
そんなに払ってるニャ?
えぇ、ごっそり持っていかれるくらい。
それだけお金をかけているのに、どんな恩恵が受けられるか把握していないのはもったいないので、ここで確認をしていきたいと思います。
- 自分が加入している社会保険を確認しよう
- 自分が今抱えている不安を書き出してみよう
- ① 僕が死んだときの収入減
- ② 僕が働けなくなったときの収入減と治療・療養・介護費の負担増
- 「③ 妻が死んだときの収入減」および「④ 妻が働けなくなったときの収入減と治療・療養・介護費の負担増」
- ⑤ 子どもの治療費
- 総括
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自分が加入している社会保険を確認しよう
おさらいですが、社会保険は下記の5種類から成り立っています。
● 公的医療保険(健康保険・国民健康保険・後期高齢者医療制度)
● 公的介護保険
● 公的年金保険(国民年金・厚生年金)
● 労災保険
● 雇用保険
働いていたら、日本国民全員が5種類全部に加入するニャ?
いえ、そうじゃないです。
それぞれ加入の条件(働き方[サラリーマン・自営業・無職]や年齢)があるので、条件を満たせば加入することになります。
みんな同じじゃないニャ?
そうです、なので自分がどれに加入しているかを知っておく必要があります。
たとえば、自営業や無職の人は労災保険や厚生年金、雇用保険には加入できませんし、健康保険ではなく国民健康保険に加入することになります。
なんかややこしそうニャ
ややこしいんですが、「自分」の社会保険がどうなっているかさえ理解すればいいと思いますよ。
ちなみに僕は「サラリーマン」で「40歳」です。
この場合「健康保険・厚生年金+国民年金・労災保険・雇用保険・介護保険」に加入しています。
自分が今抱えている不安を書き出してみよう
前回のブログでも書きましたが、僕が不安に思っていることは
① 僕が死んだときの収入減
② 僕が働けなくなったときの収入減と治療・療養・介護費の負担増
③ 妻が死んだときの収入減
④ 妻が働けなくなったときの収入減と治療・療養・介護費の負担増
⑤ 子どもの治療費
⑥ 子どもの教育費
⑦ 子どもが独り立ちする前に僕が定年を迎えそう
⑧ 老後資金
この内「⑥~⑧」は「保険以外」で対策を講じるつもりなので、今回は対象外となります。
保険で対応を検討している「①~⑤」について、「社会保険」がどれくらい保障してくれるのかをみていきます。
① 僕が死んだときの収入減
僕が死んだとき…イヤな話ですが、この時に役立つ社会保険は「公的年金保険」、僕の場合は「厚生年金+国民年金」となります。
国民年金からは「遺族基礎年金」
給付要件:
● 被保険者が死亡したとき
● 原則:保険料納付済期間+保険料免除期間が全被保険者期間の3分の2以上あること
*特例:原則の要件を満たさない人は、直近1年間に保険料の滞納がなければOK
受給できる遺族の範囲:
● 死亡した人に生計を維持されていた、
(1)子のある配偶者 (2)子
*子の要件
・18歳到達年度の末日(3月31日)までの子
・20歳未満で障害等級1級または2級の子
年金額:
● 779,300円+子の加算
*子の加算:第1子・第2子 各 224,300円
第3子以降 各 74,800円
厚生年金からは「遺族厚生年金」
給付要件:
●遺族基礎年金と同じ
受給できる遺族の範囲:
● 死亡した人に生計を維持されていた、
(1)妻・夫・子 (2)父母 (3)孫 (4)祖父母 の順
*子や孫の要件
・18歳到達年度の末日(3月31日)までの子
・20歳未満で障害等級1級または2級の子
*夫や父母、祖父母が受給権者の場合の要件
・55歳以上であること(年金を受け取るのは60歳から)
*子のある配偶者または子は、遺族基礎年金も併せて受けられる
年金額:
● 老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3相当額
*老齢厚生年金の報酬比例部分の計算式{ [平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月までの加入月数]+[平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以降の加入月数] }×3/4
(加入月数が300月に満たないときは、300月で計算される)
遺族厚生年金の年金額がよくわからないニャ
遺族基礎年金と違って、遺族厚生年金の年金額は平均標準報酬月額を用いた計算式を使って計算しなければならないんです。
オリックス生命のホームページに、遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)の年金額の目安が表にまとめられているので参考になりますよ。
僕の場合は18歳に到達していない子がひとりいるので現状関係のないですが、子のいない配偶者の場合は「遺族基礎年金」を受け取ることができません。
てことは夫が自営業だったら、その夫が亡くなっても、妻は公的年金保険からはなにももらえないってことにゃ!?
たしかに遺族基礎年金はもらえませんが、まったくなにもなしってことではなんです。
「寡婦年金」か「死亡一時金」のどちらかを、選択して受け取ることができます。
この2つについては今回の論旨から少しずれるので、ここでの説明は省略させてもらいますね。
でも「遺族年金」ってすごいニャ
えぇ、正直最初に思ったのは「あ、こんなにもらえるんだ」でした。
なので任意で「生命保険」を検討するときには、この「遺族年金」でもらえる金額を考慮することで、本当に必要な保険内容がみえてきます。
② 僕が働けなくなったときの収入減と治療・療養・介護費の負担増
実は、これが一番厄介なんですよね。
死んでしまえば収入がなくなるだけですが、中途半端に生き残ってしまうと収入が減る(なくなる)だけじゃなくて、治療や介護に要する費用がかかるようになります。
この状態の難しいところは、残った「障害の程度」や障害を持つようになった「原因」によって、保障が受けられたり受けられなかったりする点です。
これもまたややこしそうニャ
ややこしいです。
でも、押さえるべきところを押さえることで、公的制度に頼るところと任意保険(もしくは別の手段)を検討するところの「線引き」がしやすくなります。
「治療」に対する公的医療保険
まずは「治療」ですが、これに関係する公的制度は「公的医療保険」になります。
3割負担のやつニャ
そうですね、それが一番身近に感じる保障かもしれません。
日常生活の病気やケガについて診察や投薬等の医療行為を受けた場合、医療機関の窓口で支払う金額を軽減してくれる制度です。
年齢により「自己負担割合」が変わります。
● 0歳~小学校入学未満:2割
● 小学校入学~70歳未満:3割
● 70歳~75歳未満:2割(*)
*平成26年4月以降に70歳になった人:2割
*平成26年3月以前に70歳になった人:1割
*70歳以上75歳以下でも現役並み所得者:3割
でも、民間の医療保険に加入するかどうかを検討する時に、知っておくべき公的医療保険の制度もうひとつあります。それが「高額医療費制度」です。
これは月間の医療費の自己負担額が一定額を超えた場合、その超過額について請求すれば、あとで返金を受けることができるという制度になります。
さっきの自己負担額からさらに減るニャ?
そうです。
具体的には、毎月の自己負担上限額は、加入者の年齢(69歳以下かどうか)や加入者の所得水準によって分けられます。
健康保険の場合(69歳以下)
標準報酬月額:83万円以上
252,600円+(医療費-842,000円)×1%
標準報酬月額:53万~79万円
167,400円+(医療費-558,000円)×1%
標準報酬月額:28万~50万円
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
標準報酬月額:26万円以下
57,600円
住民税非課税者
35,400円
*国民健康保険の場合は、健康保険と基準が少し異なります
ひと月の自己負担額、かなり抑えられるニャ
この制度があるから「民間の医療保険に入る必要はない」という人もいるくらいです。
ただし、注意しないといけない点もあります。
「同一月・同一医療機関の窓口における支払額は、自己負担限度額までとなる」制度なのですが、裏を返せば、同一月中に複数の医療機関に支払う場合は、その限度額の範囲ではなくなる可能性があるという点です。
僕が勤めている病院でもよくあるのですが、月の半ばよりも月末の退院・転出(他の病院へ転院)や月初の入院・転入(他の病院からの転院)が多いです。
理由はいくつかあるでしょうが、その中にこの「高額医療費制度」が関係しているのも確かだと思います。
また入院中の食事代や差額ベッド代、消耗品代などは医療費に含まれないので、すべて自己負担となります。
ほかにも、先進医療の技術料は医療費扱いですが「公的医療保険の適用外」なので、これも全額自己負担となります。
これら「高額医療費制度」でも補いきれない費用があるという点も、考慮しておくべきでしょう。
差額ベッド代って、思ったよりかかるって聞くニャ
差額ベッド代は、本人希望はもちろんですが、本人の希望に関係なく「治療上やむを得ず」や「空きベッドの状況」によって差額ベッド代がかかる部屋に入らざるを得ないこともあります。また病院によって金額もまちまちです。
僕が以前勤めていた病院の通称「VIPルーム」は、差額ベッド代が3~4万円/日くらいでした。
1ヶ月で差額ベッド代90万~120万円ニャ!?
極端な例ですが、そんな差額ベッド代がかかる部屋もあるということです。
まぁ、その部屋は希望者しか使いませんけどね。
「療養」に対する公的医療保険
「公的医療保険」によって医療費を抑えることができますが、実は病気やケガで働けない間、いわゆる「療養」期間中の収入減に対しても「公的医療保険」が役立つんです。
公的医療保険すごいニャ
それが、「傷病手当金」です。
これは被保険者が、病気やケガを理由に会社を3日以上続けて休み、給料が支給されない場合に、4日目から最長1年6ヶ月間支給されます。
支給額は下記の計算式により求められます。
1日あたりの支給額
=支給開始日以前12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30×2/3
ただし、この制度は「健康保険」だけで、「国民健康保険」に傷病手当金はありません。
ぇ。てことは自営業の人はもらえないニャ!?
そうなります。
仕事の内容にもよりますが、自分が働けないと収入が得られなくなるような自営業の方は、健康保険に加入しているサラリーマンよりも、民間の保険などでリスク対策を講じる必要性が高いといえます。
ただ国民健康保険を運営する母体によっては傷病手当金が支給されるケースもあるので、国民健康保険に加入している人は自分が加入している国民健康保険に傷病手当金があるかどうかを確認しておくほうがいいです。
3つ目の「介護」に関しては条件次第ですが、「公的年金保険」や「公的介護保険」が該当します。
2つもあるニャ?
2つあるんですが、それぞれ役割がビミョーに違うんです。
まず「公的年金保険」から説明しますね。
「介護」に対する公的年金保険
先程も出ましたが、公的年金制度には国民年金と厚生年金があります。
会社勤めサラリーマンなんかは、国民年金と厚生年金の両方に加入していますが、自営業や無職の方は国民年金のみの加入となります。
病気やケガが原因で障害者となった場合で、一定の要件を満たしたときには障害年金や障害手当金を受け取ることができます。
具体的には国民年金からは「障害基礎年金」を、厚生年金からは「障害厚生年金」もしくは「障害手当金」を受け取ることができるということです。
一定の要件ってなんニャ?
それも含めて、それぞれの障害年金についてまとめてみますね。
国民年金「障害基礎年金」
受給要件
● 初診日に国民年金の被保険者であること
● 障害認定日に障害等級1級、2級に該当すること
*障害認定日:初診日から1年6ヶ月以内で傷病が治った日(治らない場合は1年6ヶ月を経過した日)
保険料納付要件
原則:保険料納付済み期間+保険料免除期間が全被保険者期間の2/3以上
特例:原則の要件を満たさない人は、直近1年間に保険料の滞納がなければOK
障害基礎年金額
1級:779,300円×1.25+子の加算額
2級:779,300円+子の加算額
*子の加算額…第一子、第二子は各224,300円 第三子以降は各74,800円
厚生年金「障害厚生年金」
受給要件
● 初診日に厚生年金の被保険者であること
● 障害認定日に障害等級1級、2級、3級に該当すること
保険料納付要件
障害基礎年金の場合と同じ
障害基礎年金額
1級:老齢厚生年金の報酬比例部分×1.25+配偶者加給年金額
2級:老齢厚生年金の報酬比例部分+配偶者加給年金額
3級:老齢厚生年金の報酬比例部分
厚生年金「障害手当金」
障害の程度が障害厚生年金の対象となる1級~3級相当よりも「軽い」場合(いわゆる4級相当)に1回だけの一時金として支給される
受給要件
● 初診日に厚生年金の被保険者であること
● 初診日から5年以内に、その病気やケガが治っていること
*「傷病が治った状態」とは、器質的欠損もしくは変形または機能障害を残している場合は、医学的に傷病が治ったとき、またはその症状が安定し、長期にわたってその疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合を指す。
保険料納付要件
障害基礎年金の場合と同じ
支給額
老齢厚生年金の報酬比例部分×2
「介護」に対する公的介護保険
介護が必要と認定された場合に、必要な給付(介護給付・予防給付)がされる制度ですが、これは「年齢」の要件があります。
第1号被保険者:65歳以上
第2号被保険者:40歳以上65歳未満
ただし老化に起因するもの(特定疾病)によって要介護者・要支援者になった場合でなければ、第2号被保険者は給付(介護給付・予防給付)を受けることができません。
第1号被保険者には、そのような条件は設けられておらず、原因が何であれ要介護者・要支援者になれば給付(介護給付・予防給付)を受けることができます。
第2号被保険者の方が不利ニャ
この制度は「高齢者」を対象に作成されたものですからね、第2号被保険者(40歳以上65歳未満)にはそれほど手厚くないんです。
なので、現役世代はこの制度をあまりアテにしない方がいいですね。
「③ 妻が死んだときの収入減」および「④ 妻が働けなくなったときの収入減と治療・療養・介護費の負担増」
この2つの項目は「①」「②」で確認した「社会保険」と同じです。
ただ少し前までは、遺族基礎年金は「子または子のある妻」が受給者として認められていたのですが、「子のある夫」は受給者として認められていませんでした。
時代に合わせて、制度も少しずつ変わっていっているということです。
⑤ 子どもの治療費
これに関しては親同様に「公的医療保険」によって負担軽減を図ることが可能ですが、それ以上に重要になってくるのが「自治体」による子どもの医療費助成制度です。
現在、子供の医療費に対して、すべての都道府県・市区町村で独自の助成が行われています。
自治体によって助成内容や条件は異なりますが、市区町村では自己負担をゼロにしているところが6割超と多数派になっています。
なので、もし自分の住んでいるところがどのような助成を行っているか分からなければ、一度問い合わせてみてください。
ちなみに僕が住んでいるところでは、親の所得要件はありますが「15歳の年度末まで」「自己負担額ゼロ」で医療機関にかかることができます。
15歳までタダで病院行けるニャ!?
ほんと助かります。
僕が子どもの頃は「1歳まで無料」だったみたいですよ。
子育て世代に優しくなったニャ
少子化で超高齢社会ですからね、こんなふうに前途ある子どもに税金をどんどん使ってもらいたいものです。
総括
さて、ちょっとまとめただけでも「社会保険」によってある程度守られていることが分かったと思います。
この社会保険でも「守りが足りない」ところが、任意保険を検討するところになるわけです。
次回は、この社会保険を踏まえて、自分の不安への対策をどう考えたのかを書いてみたいと思います。
今回は説明が多くて、頭パンクしそうニャ…
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